動画制作

動画制作に欠かせない絵コンテの書き方を解説!押さえるべきポイントや注意点は?

動画制作における核心ともいえる工程が「絵コンテ」です。

動画や映像作品のクオリティは絵コンテで決まるといっても過言ではなく、絵コンテが十分に作成されないと、その後の作業にも悪影響を及ぼしかねません。

動画制作を動画制作会社へ依頼する場合、当然絵コンテの作成も動画制作会社がおこないますが、依頼者自身が絵コンテの知識をもっていれば、コミュニケーションがスムーズになります。

もちろん、自身で動画を制作したい場合には、絵コンテの知識やスキルは必須です。

この記事では、動画制作に欠かせない要素である絵コンテについて、書き方や押さえるべきポイントなどを解説します。

最後まで目を通して、動画制作のクオリティをアップしましょう。

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そもそも絵コンテとは?

まずは「絵コンテとは何か」といった、基本的な部分を押さえましょう。

絵コンテは、映像やアニメ制作の初期段階で作成される「設計図」のようなものです。

具体的には、映像やアニメがどのように進行するのかを示すイラストやスケッチの連なりとなります。

この絵コンテが映像制作において非常に重要な役割を果たす理由は、物語や内容の流れを可視化することで制作スタッフ全員が同じビジョンを共有しやすくなるからです。

さらに、絵コンテは映像の品質や制作の効率にも大きく寄与します。映像のどの部分にどれだけの時間や労力をかけるかの判断基準となり、リソースの最適な配分をサポートする役割も担います。

また、監督やプロデューサー、アニメーター、撮影スタッフなど、多くの関わる人たちとのコミュニケーションツールとしても利用されるため、制作過程での誤解やミスの防止にも効果的です。

絵コンテの作成は、物語やメッセージの整理から始まります。

内容をもとに、大まかなシーンの区切りを設定し、それぞれのシーンにおけるキャラクターの動きや背景、カメラの動きなどの詳細を決定していき、具体的な絵を描き上げていきます。

最後にセリフや音楽、効果音などの情報を付け加えることで、完成度を高め、絵コンテの完成です。

動画制作現場での絵コンテの書き方

では、実際の動画制作の現場では、どのような流れで絵コンテが作られるのでしょうか。

この記事では絵コンテが完成するまでの大まかな流れを、以下の3ステップに分けて解説します。

  1. ナレーションやセリフの書き込み
  2. カット割りの決定
  3. 絵の描き込み

①ナレーションやセリフの書き込み

絵コンテを考える際、真っ先に頭に浮かぶのは画像や絵の連なりですが、実際にはセリフやナレーションの策定からスタートします。

これが最初のステップとなるのは、映像の中核を成す言葉を先に固定することで、セリフやナレーションに適した絵を描けるからです。

映像とナレーションが不整合となってしまう例も見受けられるのは、先に映像を確定させてからナレーションを合わせる方法をとった結果といえます。

効果的な動画制作のためには、ナレーションやセリフの原稿はクライアント側で用意するのが理想的です。

なぜなら、動画はクライアントが伝達したいメッセージや、提供するサービス・商品の特性、さらには採用のアピールなどを視覚的に表現する手段であり、それらの基盤となる情報やメッセージはクライアント自身が最も理解しているからです。

その上で、映像制作の専門家である制作会社にアドバイスや修正を求めれば、より洗練された内容の動画が生まれます。

クライアントの意図と制作会社の専門性を組み合わせることで、最も伝わる動画が制作しやすくなります。

セリフやナレーションの原稿を整えたら、音読して秒数をチェックする作業も忘れずにおこないましょう。

30秒の動画を目指していても、実際にセリフを読み上げると45秒もかかる場合も少なくありません。

というのも、動画中のセリフは内容を明確に伝えるために、普段の会話よりも少しゆっくりと話すことが求められるからです。

1分間のセリフやナレーションの目安は約180字で、1秒あたりに話せる文字数は約6文字と、伝えられる情報の量は実はあまり多くありません。

したがって、制作会社に原稿を提出する前に、朗読の時間をしっかり計測し、必要な情報のみを効率的に伝える意識が大切です。

②カット割りの決定

絵コンテ作成におけるカット割りは、映像制作の要ともいえる作業です。

カット割りとは、映像の流れや展開を細かく区切る作業です。

このカット割りを通して、物語や情報の伝え方、映像のリズムやテンポが決まってきます。

以下に、絵コンテ作成におけるカット割りの手順やポイントを詳しく解説します。

シナリオの確認

最初に、完成させたい映像の大まかな流れや内容をシナリオやスクリプトとして整理します。

この段階で、何を伝えたいのか、どのようなストーリー展開にするのか、基本的な方向性を決めておきましょう。

キーシーンの特定

次に、シナリオの中で特に強調したいシーンやポイントを特定します。

このキーシーンが映像のハイライトとなり、視聴者の印象に残る部分です。

カットの区切りを設定

キーシーンを特定したら、それを中心に映像のカットを区切っていきます。

ここでのカット割りは、視聴者に情報をどの順番で、どのタイミングで伝えるかを決定する重要な作業です。

映像のリズムやテンポを考慮

同じ長さのカットばかりだと、映像が単調になってしまいます。

ダイナミックな展開やリズムを出すために、長いカットと短いカットをバランスよく配置します。

各カットの内容の詳細化

各カットで何が映るのか、どのようなアングルやフレームで撮影するのか、背景やセットはどうするのかなど、細部までを具体的に考えましょう。

試行錯誤

初めてのカット割りは、必ずしも最適なものとは限りません。

何度も見直しを行い、映像全体の流れやバランスを確認しながら、最適なカット割りを模索します。

フィードバックの収集

制作チームや関係者からのフィードバックを収集し、カット割りをさらにブラッシュアップします。

絵コンテ作成におけるカット割りは、映像が持つ力や魅力を最大限に引き出すためのキーとなる作業です。

上記の手順やポイントを参考にしながら、効果的なカット割りを心掛けてください。

③絵の描き込み

セリフやナレーションなどの原稿が完成し、カット割りも決定したら、次はいよいよ絵コンテの作成に取り掛かります。

ここで大切なのは以下の2つのポイントです。

  • 描き手の技術より、視覚的な明瞭さを優先する
  • 映像内のテロップ(文字情報)も考慮に入れる

絵コンテは映像制作の方針やイメージをクライアントや制作チームに共有するためのツールです。

そのため、絵が詳細であるよりも「何がどこに配置されているか」「どのような動きがあるのか」を簡潔に伝えなければなりません。

さらに、動画内でのテロップの位置や大きさも考慮しながら絵を描くことで、完成時のイメージをより正確に共有できます。

絵コンテを上手に作成するうえでのポイントや注意点7選

絵コンテ作成の流れがわかったところで、続いては絵コンテを上手に作成するためのポイントを考えましょう。

流れだけがわかっていても、クオリティの高い絵コンテは作れません。

ここでの解説を参考に、質の良い絵コンテ作成を目指しましょう。

  1. 絵コンテと実際の映像には違いが出ると理解する
  2. メッセージは必要なものだけを厳選する
  3. 起承転結を意識する
  4. 画像検索を活用する
  5. 簡単なスケッチからスタートする
  6. 使いまわしがきく要素を活用する
  7. 便利なツールを利用する

①絵コンテと実際の映像には違いが出ると理解する

実際の動画や映像は、絵コンテと100%リンクするわけではありません。

実際の撮影では、光の条件や天気などの要因で映像が変わるケースもよくあります。

現場の臨機応変なアイディアや、意図せず映り込んだ背景の要素など、絵コンテとは異なる状況が生じる場合も珍しくありません

そのため、絵コンテでの詳細な指示は控えめにして柔軟な対応を心がけると、制作過程が円滑になります。

一方で、これらの予想外の変更には注意が必要です。

撮影の際には、クライアントの責任者が必ず同席し、現地でのモニタリングを行いながら撮影の適切性を確認してください。

撮影シーンは簡単に再現できないため、その場での確認と判断が重要です。

アニメーション動画でも絵コンテと完成後の作品とには違いがある

制作会社では、絵コンテは主に映像ディレクターが手がけ、実際の完成絵はイラストレーターが担当するため、絵の質感やキャラクターの特徴、さらには全体の雰囲気が変わるケースも珍しくありません。

絵コンテは、映像の構築のための大まかな指南書です。

アニメ動画制作に際しては、この絵コンテを元に、イラストレーターがキャラクターや背景、主要なシーンのラフ画を提案します。

アニメーションでは、手描きのイラストをアニメーターが動かすプロセスを経るため、静止画と動きのある映像では、感じる印象が変わる場合もあります。

また、絵コンテで示されている動きやアクションは参考の範囲であり、最終的なアニメーションでは異なる場合が多いです。

絵コンテの内容に固執せず、完成品の動きや雰囲気を正確にイメージする意識を持ちましょう。

②メッセージは必要なものだけを厳選する

良い絵コンテを作成する際のポイントとして、伝えるべきメッセージを明確にし、余計な情報を排除する意識も欠かせません。

一つの絵コンテ、一つのシーンが持つ情報量は限られているため、視聴者が必要とする情報や、製作者が強く伝えたいメッセージを絞り込む作業が求められます。

多くの情報を詰め込もうとすると、メインの伝えたいことが埋もれ、視聴者にとっての受け取りづらい映像となります。

また、絵コンテは動画制作の初期段階での共有ツールであり、情報が多すぎると制作チームのメンバー間での認識にずれが生じる恐れも無視できません。

メッセージを厳選することで、映像の目的が明確となり、魅力的な映像作品へとつながる鍵となります。

映像の中で最も伝えたいポイントを明確にし、それを支えるサブの情報を緻密に選ぶことで、絵コンテの質も上がりやすいです。

絵コンテ制作の際は、情報の取捨選択を大切にし、視聴者とのコミュニケーションを最適化させるよう心がけてください。

③起承転結を意識する

絵コンテ制作において、物語やメッセージの構成は重要です。

その中で「起承転結」は、良い絵コンテを作成するための基本的なポイントの一つといえます。

以下の表を見てください。

物語や映像の導入部分です。視聴者の興味を引き付ける要素や背景を設定します。この部分で視聴者の注意を引くことができると、次の「承」へと自然に導けます。
導入で示された背景や状況を深め、視聴者にさらに情報を提供します。
ここで物語やメッセージの中核部分をしっかりと伝える意識が大切です。
ここでサプライズや予想外の展開を持ち込むことで、視聴者の興味を一層高めます。
この部分は映像がピークを迎える場面となるため、特に工夫や工夫が求められます。
ここで物語やメッセージを締めくくります。
締めの部分は、視聴者に与える印象を強化する大切なポイントとなるため、きちんとまとめ上げる意識を持ってください。

起承転結がバラバラだと、ストーリーや話の流れがごちゃごちゃしてしまいます。

自然な流れで物語が展開するように、起承転結を意識して絵コンテを作りましょう。

④画像検索を活用する

絵コンテ作成において、直感的に正確なイラストを描く方法としておすすめなのが、インターネットの画像検索です。

特定のキーワードを使い、イメージに近い写真やイラストを参照すれば、頭の中にあるイメージと画像とを照らし合わせられ、絵コンテ作成がスムーズになります。

例えば「スーツ姿の男性がこちらをじっとみる」というシチュエーションの場面を描きたい場合、似たキーワードで画像を検索し、その中から自分のイメージに合う構図を選び、それを基にイラストを描きます。

また、無料の画像提供サイトも便利です。

さまざまなカテゴリ別に画像が提供されているので、画像探しもスムーズになります。

さらに、自らカメラでリアルタイムに写真を撮る作業も、具体的なイメージを持ちながらイラストを描く助けとなります。

イラストやデッサンのスキルに自信がない方にとって、リアルな写真やイラストを参考にすることは、有効な手段です。

ただし、参考にした画像を丸写しにするのではなく、あくまで画像をベースに、自分のスタイルやテーマに合わせてアレンジする意識を忘れないで下さい。

⑤簡単なスケッチからスタートする

絵コンテの制作過程において、基本的なスケッチからスタートするのは合理的です。

簡潔かつシンプルなスケッチはアイディアの具現化を迅速にすすめられるため、全体の制作時間の短縮が期待できます。

絵を描く際、特に複雑なシーンや詳細を想定すると、頭の中でのイメージを紙やデジタル上に反映させるのは一筋縄ではいきません。

しかし、基本的なスケッチを先にすませることで、物語の流れやキャラクターの動き、シーンの配置など、大まかな部分を早い段階で明確できます。

この手法は、具体的なディテールや細かい修正を後回しにして、全体のフローを先に捉えるアプローチといえます。

また、この初期のスケッチ段階では、アイディアのブレインストーミングや他のスタッフとの意見交換もスムーズです。

具体的な色やディテールを気にすることなく、構図や物語の流れに集中できるため、更なるアイディアの発散や改善が期待できます。

さらに、基本的なスケッチを起点として進めることで、後の段階での作業が効率的になります。

緻密な描写や色付け、細部の修正など、詳細な作業はスケッチが完成してからの方が、全体のバランスや一貫性を保ちやすいです。

⑥使いまわしがきく要素を活用する

絵コンテの制作において、過去に作成した要素やシーンをうまく再利用する手法は、効率的な作業の進行に欠かせないアプローチです。

特に、繰り返し登場する背景や似通った動きをするキャラクターが存在する場合、それらの要素を再利用することで、新たなシーンの構築が迅速になります。

この方法の大きな魅力は、一度描かれた要素や配置を参考にして、新しいシーンを素早く構築できる点です。

既存の素材をベースにして変更や追加をすることで、絵コンテ全体の一貫性も保たれやすくなります。

さらに、制作時間の短縮を図るだけでなく、全体のクオリティも均一に保つ助けにもなります。

ただし、単なる再利用するだけではなく、適切な調整や変更も必要です。

特定のシーンやキャラクターに合わせて、細かい修正やアレンジを加えれば、シーン特有の雰囲気や動きを追加できます。

また、コメントや注釈を付け加えるなど、特定のシーンやキャラクターの特徴や意図を明確に伝える意識も大切です。

➆便利なツールを利用する

デジタルツールの導入は、絵コンテ制作をより効率的に、かつ柔軟に進めることができるキーとなります。

近年、映画やアニメーションなどの業界でもデジタルツールの活用が増えており、制作の速度やクオリティが飛躍的に向上しています。

特筆すべきは、高品質なイラストや写真を提供するストックフォトサイトの利用です。

こうしたサイトを使用することで、絵コンテの質自体を高められ、制作時間の短縮も狙えます。

なかでも高く評価されているのが、「Adobe Stock」です。

写真だけでなく、イラストやベクターグラフィックなど、多岐にわたる素材を提供しているため、幅広い用途で活用できます。

また、テーマやスタイル別に素材を検索できるので、制作中に必要となる特定の素材を迅速に見つけ出せます。

絵コンテ制作において、さらなるクオリティや効率を求める際には、Adobe Stockのようなデジタルツールが有効です。

活用できるものは上手に使って、絵コンテのクオリティを上げましょう。

動画制作で絵コンテを作る目的4選

ここまで、絵コンテの書き方やポイントなどを解説しました。

次に少し視点を変えて、動画制作で絵コンテを作る目的を考えましょう。

絵コンテ作成に難航している場合、そもそも何のために絵コンテを作成するのかがわからなくなっている場合があります。

一度基本に立ち返って絵コンテを作る目的を振り返り、絵コンテの重要性を再認識してください。

絵コンテを作る目的はさまざまありますが、今回は特に重要な要素として、以下の4点を解説します。

  1. 出演者やスタッフと動画の内容を共有するため
  2. クライアントに動画の世界観を視覚的に共有するため
  3. 動画の核となる場面を確認するため
  4. 映像の質を高めるため

①出演者やスタッフと動画の内容を共有するため

まず挙げられる大きな理由は「出演者やスタッフ間で動画の内容を共有する」というものです。

絵コンテと構成表は映像制作における指南書の役割を果たします。

絵コンテは、ディレクターの思考を視覚的に表現するための「映像の指南書」とも言えるものです。

絵コンテの存在により、制作チームやキャストは映像の流れや全体構成についての共通の理解を持てます。

その結果、映像の制作プロセスは円滑に進められ、ディレクターの意図を正確に映像に反映させられます。

実写映像においては、撮影の際の現場の変動に柔軟に対応する必要があるため、絵コンテはある程度大雑把に描かれケースが一般的です。

それに対して、アニメーションの領域では、絵コンテの1枚1枚がアニメーションの品質や方向性に直結するため、細部までの指示が記される場合が多いです。

②クライアントに動画の世界観を視覚的に共有するため

クライアントには、動画の世界観をわかりやすく伝えなければなりません。

その際にも、絵コンテは役立ちます。

単にテキストの台本だけでは、具体的な動画の流れや世界観、さらには役者やキャラクターの具体的な動きや表情、シーンの遷移などの詳細までを完璧にイメージするのは難しいです。

絵コンテの提示は映像の具体的なビジョンを形にし、クライアントがそのビジョンを明確に捉える手助けをします。

また、映像制作においては、クライアントの要望やイメージと、制作会社の解釈や提案が常に一致するとは限りません。

このような認識のギャップは、後に大きな修正や変更の原因となり得ます。

その結果、制作のコストや時間が増加するリスクも考えられます。絵コンテを活用することで、これらのリスクを低減できます。

③動画の核となる場面を確認するため

映像作品の中では、どの部分が作品の核なのかを、スタッフ全員で共有しなければなりません。

絵コンテは、動画が持つ最も中心的な部分、つまりメッセージをいかにに伝えるか、視聴者にどのような感情や印象を残すのかを、具体的に描き出すためのアイテムでもあります。

音楽でいうところの「サビ」、つまり楽曲のクライマックスや核心となる部分がどのように演出されるかを明確にするツールともいえます。

特に、動画が何らかの商業的な目的、例えば商品購入の促進や特定のサービスの紹介などを目的としている場合、絵コンテはその指針となる道しるべとし効果的です。

絵コンテをもとに、視聴者が適切なアクションへと導かれているのか、またその動画が自社の商品やサービスの特長や強みを効果的に伝えているのかを評価できます。

さらに、市場にはさまざまな商品やサービスが存在するため、競合他社との差別化は重要な課題です。

絵コンテを活用することで、自社の提供する価値や独自性が的確に表現され、競合との違いが際立つ映像になっているのかを早い段階で確認できます。

④映像の質を高めるため

映像の品質を一段と引き上げるためには、具体的かつ明確なガイドラインが不可欠です。

絵コンテはまさにその役割を果たし、制作過程の各ステップでの方向性や焦点を示す貴重な指南書として働きます。

明確な指示書があることにより、制作スタッフ全員の認識が一致し、それぞれの役割や責任が明確になるため、制作の全体的な質が向上します。

さらに、絵コンテを持っていることで、映像制作の過程でのフィードバックが容易になる点も見逃せません。

初期段階から絵コンテを参照しながら進行することで、期間を通して一貫性のあるビジョンを維持できます。

また、絵コンテと実際の制作内容を定期的に照らし合わせることで、必要な修正や調整点を迅速に特定・反映させられます。

このように、反復的なフィードバックのサイクルが確立されると、映像の中の細部にわたるクオリティ向上にも効果的です。

絵コンテ作成に移る前に済ませるべき作業3選

絵コンテは、動画制作の土台をつくる重要なツールです。

しかし、いきなり絵コンテから動画制作がスタートするわけではありません。

絵コンテの作成に移る前に、以下作業を完結させてから臨んでください。

  1. 動画制作の目的を明確にする
  2. どのターゲットに向けた動画にするのか考える
  3. 配信する媒体を決める

①動画制作の目的を明確にする

「目的」は、絵コンテ・構成表を作成する際の核心的要素となります。

動画を制作する際には、大きく3つの主な狙いが考えられます。

それは、企業やサービスの名前をより多くの人に知ってもらうための認知度向上、企業のイメージやブランドの価値を高めるためのブランディング活動、そしてウェブサイトへの訪問や商品の購入、人材の採用といった具体的なアクションを促す集客の3点です。

これらの目的に応じて、動画の中身やアプローチは大きく異なります

例として、認知度を上げることが狙いの場合、動画の中でサービスや商品の名前を頻繁に取り上げ内容とが考えられます。

一方、商品の購入を促すことを目的とする場合、商品の特長や利点を強調して伝えるアプローチが一般的です。

このように、目的を明確に設定することで、動画のコンテンツや伝え方、戦略を適切に組み立てることができ、効果的な映像制作が進められます。

②どのターゲットに向けた動画にするのか考える

動画の訴求力は、メッセージが意図するターゲットにしっかりと届いているかどうかに左右されます。

ターゲット像を正確に把握し、ターゲットの興味やニーズに合わせてメッセージを伝える意識が、効果的な動画制作のカギとなります。

そのため、ターゲットの特性を深く理解することは、動画の質を向上させるための非常に重要なステップです。

ターゲットの特性として、性別や年齢だけではなく、職業や居住地、家族構成といったより具体的な情報も考慮しましょう。

これにより、メッセージの細かいニュアンスやターゲットの行動動機に合わせた訴求方法を探りやすくなります。

例として、女性を対象とした商品を宣伝する動画の場合、商品が男性にとってのプレゼント選びに適していると感じるかどうかも重要なポイントになり得ます。

このように、一見対象外と思われる層へのアプローチも、ターゲット像をしっかりと設定することで見えてくる可能性が高いです。

ターゲット像が具体的で詳細であればあるほど、制作会社もターゲットに合わせた最適な戦略を立てるのが容易になります。

動画のインパクトや説得力が向上に役立つので、ぜひ意識してください。

③配信する媒体を決める

動画の配信先となる主要な媒体は先に確定させておきましょう。

選択される媒体ごとに、映像が持つべき雰囲気や世界観、さらには制作にかかる予算、適した動画の長さ、使用するべき撮影機材のスペックといった要素が変動します。

例を1つ見てみましょう。

ウェブサイトでの配信はパソコンやスマートフォンなど、比較的小さな画面サイズが中心です。

これに対し、テレビや都市の大型ディスプレイ、セミナーや会議で使用するプロジェクター、更には映画館で上映する際など、画質の粗さが目立つシチュエーションでは、高解像度で撮影できるカメラの使用が必須となります。

また、目的が企業や商品の説明会での上映である場合や、SNS上での短時間の公開を想定しているのかも、動画の内容やスタイルの決定に影響を及ぼします。

このように、媒体によって動画に求められる要素がかわるため、使用媒体が明確になっていないと、絵コンテ制作にも悪影響を及ぼしかねません。

配信先となる主要な媒体や用途を事前に明確にすることで、絵コンテの制作も効率的に進みやすくなります。

絵コンテ作成に関するQ&A

最後に、絵コンテの作成にかかわる情報を、一問一答形式で解説します。

以下の質問を見てください。

  • 絵コンテを作るタイミングはいつ?
  • 動画制作を外注する場合は自分で絵コンテを作るべき?
  • 絵が描けないと絵コンテも作れない?

Q.絵コンテを作るタイミングはいつ?

A.外注の場合は依頼後の企画段階、自主制作の場合は、構成が確定した段階が一般的です。

動画の製作過程で、絵コンテや構成表の作成は通常、正式に制作が決定された後の企画フェーズで実施される場合が多いです。

絵コンテは、動画制作の核心的な部分を担い、クライアントからの意見や提案を組み込みながら、最終版へと仕上げていきます。

さらにクライアントからの承認を得た後、関わるスタッフや出演者への情報提供がおこなわれます。

いずれにせよ動画制作の土台となる作業なので、プロジェクトの初期段階で着手されるケースがほとんどです。

Q.動画制作を外注する場合は自分で絵コンテを作るべき?

A.外注先に任せるのが無難です。

動画制作の際、絵コンテ・構成表の作成を自身で手掛けるのは魅力的に感じるかもしれませんが、実際には専門の制作会社に依頼するのが賢明です。

チャレンジ精神は大切ですが、絵コンテは専門的な技術や知識が要求されるアイテムです。

専門家でないと、適切な機材の選定や表現技術の判断が難しい場合が多く、結果として予算を超える内容になることも少なくありません。

特にアニメーションにおいては、希望する動きの品質が予算内で実現可能かどうかを判断するのは難しいです。

そのため、絵コンテの作成は制作会社の専門家に依頼し、成果に対してのフィードバックの提供にしましょう。

制作会社は、初回の打ち合わせでクライアントの想いやビジョンを詳細に収集し、それを基に絵コンテを策定するので、心配ありません。

Q.絵が描けないと絵コンテも作れない?

A.絵が描けなくても絵コンテは作れます。

というのも、絵コンテの本質は細部の美的な表現ではなく、物語やメッセージを伝えるためのビジュアルの流れや構成を示すためのものだからです。

具体的には、絵コンテを作る際に最も重要なのは、視点、キャラクターや物の位置関係などの明確化です。

これは、細かい絵の技術を持っていなくても、シンプルな形や線を用いれば表現できます。

人物を示すために単純な棒人間を描くだけでも、位置や動きは伝えられます。

また、現代の技術の進歩により、多くのデジタルツールやソフトウェアが開発されており、絵を描く技術が不足している人にとって、有効です。

ドラッグアンドドロップの操作やテンプレートを使用して、視覚的な表現を手軽に作成できるので、ぜひ習得しましょう。

まとめ~絵コンテの書き方は完結な情報伝達が基本~

この記事では、動画制作に欠かせない絵コンテの書き方について、詳しく解説しました。

動画制作の場面でよくきかれるのは、「動画の質は絵コンテ・構成表で決まる」という点です。

事実、絵コンテは動画のクオリティを大きく左右する要因となります。

絵コンテは動画制作のプロジェクト全体の土台となる部分です。

土台がぐらついていると、その後の作業も難航しかねません。

制作プロセスの初期段階から、制作会社との綿密な打ち合わせを重ね、しっかりとした絵コンテを目指してください。

絵コンテの妥協は、理想とする動画の実現を遠のかせてしまいます。

この記事で触れた要点を心に留めながら、自ら絵コンテ作成の実践にも挑戦してみましょう。

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